茶神ハチジュウハチヤー

人同士の絆が強かった頃、駿河湾に四畳半の
茶室が存在した。その茶室は茶神と茶人が交流する、
憩いの場だった。しかし、その茶室はさる初春に激しい凍霜害にあいなんと沈むことになる。
人情や茶の心、茶文化が失われつつある今
茶室で行われていた茶事を通じての和の心(輪の心)を
伝えるため、そしてお茶を守るために生まれたのがハチジュウハチヤーだ。

しかし、現代を見た茶神ハチジュウハチヤーは絶望した。
特色ある街並みが失われ、統一性の無い建物が並び、どの町に行っても
似たような物だけが存在する。この世にはもう茶文化、いや文化は失われてしまったのか…

そんな茶神ハチジュウハチヤーを癒したのは、ほかでもない茶畑だった。
新芽が鮮やかに彩る茶の峰を見てハチジュウハチヤーは初心をとりもどした。
『私が伝えるんだ。』
  今日もハチヤーはどこかで茶を伝えている。
一見、茶には関係ない所にいるかもしれない、だが茶神ハチジュウハチヤーがそこにいる事で
いつの間にか茶文化の中に投じている事をあなたは自覚するだろう。

茶神ハチジュウハチヤーには敵がいない。
茶そのものが体を成していることから、風邪のウィルスをお茶の力で倒すのは茶神にとって
闘う事を定義しているわけではなく、生理現象にすぎないのだ。



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